http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201505/542055.html より

規制改革会議WGで医薬分業政策の効果について説明
厚労省、「医薬分業の評価を量から質へ転換」

上記記事にて、こんなことが紹介されていた。

(以下引用)

厚労省が提示した医薬分業の評価に関わる主なデータ(資料を基に編集部まとめ)

◆安全性の確保
・医薬分業率は67.0%(2013年度)まで上昇した。医薬分業率が上昇しなければ、複数診療科受診による重複投薬や相互作用などのチェック機能も十分に果たせない。
・年間7.9億枚の処方箋のうち、5.4%(約4300万枚:2013年度調査)について薬局薬剤師が医師への疑義照会を実施した。
・薬局の92.9%が残薬が無駄にならないよう医薬品の減量を行っており、うち4割は「薬剤師からの提案」がきっかけ(2013年度調査)。

◆保険財政の効率化
・医療費に占める薬剤比率が28.5%(1993年度)から21.9%(2011年度)に低下し、2.5兆円の削減効果が得られた。
後発医薬品の使用割合が46.5%(2013年4月)から57.0%(2014年11月)に上昇した。後発品に変更したきっかけの約7割が「薬剤師からの説明」だった。
・在宅患者訪問薬剤管理指導などを通じて残薬を解消することで、約400億円の薬剤費の削減が見込める(2007年度調査)。
・医薬分業率が高くなるほど1日当たりの薬剤料が低くなるとの報告がある(処方箋受取り率100%の場合、0%の場合に比べて1日当たりの薬剤費が27.0%減少するとの推算)。

(引用終わり)

これに対して突っ込みたくなってしまったので突っ込んでみる。

・医薬分業率は67.0%(2013年度)まで上昇した。医薬分業率が上昇しなければ、複数診療科受診による重複投薬や相互作用などのチェック機能も十分に果たせない。
→「医薬分業率が上昇しなければ」ではなく、「かかりつけ薬局を利用する患者の割合が上昇しなければ」(処方薬の一元管理が必要という立場)、または「調剤に薬剤師が関与する割合が上昇しなければ」(お薬手帳などによるチェックでも可能だろうという立場)と言うべきだろう。

・薬局の92.9%が残薬が無駄にならないよう医薬品の減量を行っており、うち4割は「薬剤師からの提案」がきっかけ(2013年度調査)。
→個々の薬局がどれだけやっているかが問題。そりゃあ、1つの薬局で1回くらい残薬調整行っているでしょ。


しかし、「医薬分業率が高くなるほど1日当たりの薬剤料が低くなるとの報告」は興味深い。ただ、まあ、ここでの薬剤料とは、たぶん諸々の加算を抜いた純粋な薬価としての薬剤費なんだろうなあ。

医薬分業を否定する気はないです。医薬分業でないとできないことは絶対ある。
ただし一方で、医薬分業を絶対視するのは違うのではないかとも思ってます。なんとなく、薬剤師である以上は医薬分業を支持するのは当然、みたいな空気があるように思う。
で、それって、医薬分業ではないイコール薬剤師が関与しない、という誤解があるからじゃないかなあと。でもそれって違うんですよね。
個人的には、処方に薬剤師の目が入りさえすれば、医薬分業はしてもしなくてもどっちでもいいんじゃないかなあと。どっちでもいいというか、病院の規模とか地域の状態とか、もっと言えば患者の疾患や使用薬剤や希望に応じて変えていけばいいんじゃないかなあと思うわけですが。